002 毎日のレモンジュース
冷んやりドリンクが美味しい季節。
おじいちゃんの住まいでもある和菓子の工場に足を運ぶと、いつも準備してくれているのは「生搾りレモン」のジュース。レモンのストックを欠かさず、私が訪れるまでの準備も欠かさず、「はい、いつもの!」とニッコリ手渡してくれます。
わーい、今日も頑張れる!
の時もあれば、
ああ、疲れた身体に沁みわたる…
なんて時も。
ビタミンを摂取できる効能もありますが、私の身体への心遣いに元気をもらいます。少し曇っているいつものグラスに注がれた、ハチミツ入りの甘酸っぱいレモンジュース。愛しくてたまりません。
冬は冷えて固まったハチミツをストーブで湯煎したり、夏はグラスごと冷蔵庫で冷やしてくれたり、細やかなところにまでやさしさが詰まっています。
大人になってから増えた大好物。
おじいちゃんがレモンジュースを搾ってくれるようになったのは、私が会社員のときがはじまり。
平日会社員をしながら土日にお菓子づくりの手伝いをしはじめたころ、私の健康を気遣ってつくってくれるようになりました。最初は「えっレモン搾ったの…?」と驚く私に「ビタミンちゃんと取らなあかんよ」と半強制で飲んでいて、それを見たおばあちゃんが「本当はちぃちゃんイヤがっとるんよ〜」とおじいちゃんをからかう。そんな流れが、いつの間にかオキマリになっていました。
「はい、いつもの!」
わーーい!とよろこぶ私と、ご満悦な表情のおじいちゃん。それをあたたかく見守るおばあちゃんは、忙しいときにレモン搾ってくれる役割です。
たまにレモンが手に入らないと、オレンジだったり、いちごミルクだったり。
日常というものは、1日を繰り返す積み重ね。
そんな中にオキマリがあって、小さな変化がこんなにも特別なものだとは驚きです。
退屈どころか、特別をも生む。
繰り返すこと、継続することでしか見つけられない幸せのカタチを知りました。